■ 抄録・要旨
| 多くの樹木は外生菌根菌と共生関係を築いている。樹木の成長に対する外生菌根菌の役割や環境変動の影響は、樹木の根の成長を直接観察することによって知ることができるかもしれない。一般に、このような成長計測は、巨視的なスケールで行われてきた。
演者らは、これまで、光学計測を専門とする立場から、超精密変形計測法の開発について研究を進めてきた。本講演では、外生菌根菌(コツブタケまたはケノコッカム)に感染したアカマツ実生苗と、感染していないアカマツ実生苗について、それらの根の成長を、独自に開発した統計干渉法を用いて、サブ秒の時間幅、ナノメータの分解能で計測した。
外生菌根菌に感染したアカマツ実生苗の根の成長と、感染していない実生苗の根の成長との間には、成長速度に明らかな差異が認められた。このことから、統計干渉法が、根の成長に対する、実時間その場計測法として有効であることが示された。
|